【批評祭参加作品】いい仕事の核/深水遊脚
 
詩『汲む−Y・Yに−』に感じている。震える弱いアンテナはもう二度と手に入らないだろう。そんな感覚。
 『告別』は師匠が弟子に語りかけるかたちで詩が展開する。師匠はこの詩の最初で弟子のバスの三連音を褒め称えながらも、おまえの年ごろで同じ素質と力を持っている者は1万人のうち5人はいる、それらの人も5年の間に、生活に追われ、あるいは自らその力と素質をなくす、と厳しい言葉を続ける。そしておまえがその力と素質をなくすなら、おれはおまえをもう見ないと突き放す。その理由が冒頭の引用部分である。少し反発したい。食べるため、家族を守るために少しくらいの仕事をしてそれに腰かける生き方も、1万人に5人の素質をずっと保
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   グループ"第5回批評祭参加作品"
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