【批評祭参加作品】いい仕事の核/深水遊脚
 
ないことが大事だと思う。『天使の卵』『天使の梯子』を手にとって読んでみる楽しみをこれ以上未読のひとから奪ってはいけない。

 村山由佳の小説『天使の梯子』で宮沢賢治の『告別』という詩を知り、本棚にあった宮沢賢治の詩集でその全体を確かめてみた。本棚に詩集がいっぱいあるわりには私の詩とのかかわり方なんてこの程度だったんだな、読んだはずなのにな、と思うとイヤになった。この詩で心に引っかかったのは冒頭に引用した部分だった。なんだか、自分の働き方、生き方について見抜かれたような気分になってしまった。最初に一読したときは、この詩の冒頭に登場した「バスの三連音」という言葉から、いまは楽器を弾かないから自分は
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   グループ"第5回批評祭参加作品"
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