【批評祭参加作品】いい仕事の核/深水遊脚
を、すれっからしになることと同じとみなす価値観をこの言葉によって転換して、気弱さも人に対する畏怖であり「震える弱いアンテナ」として、いい仕事の核となり得るのだと彼女は希望を見出した。うんと時間が経ってその記憶がこの詩に結実した。多分、人を人とも思わないことは、『告別』のなかの、少しぐらいの仕事に腰をかけていることと同じ意味なのだと思う。もっとできるのに、それ以上に行こうとしない。もっと分かり合えるはずなのに、それ以上の理解を拒絶してしまう。気弱なままでいいという希望に転化してしまう前にこの厳しさを見つめたほうがいい。そうでないと、気弱なまま咲き誇る薔薇のしんどさを実際に体験したとき、簡単に折れてし
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