【批評祭参加作品】いい仕事の核/深水遊脚
 
てしまうだろう。

 報酬の源泉は人にある。私はそう考えている。あるものが生きていくために必要だから人はそれを手に入れ、対価としてお金を払う(なかには略奪したりタダ乗りしたりする不届き者もいるが)。それを生み出す仕事は、誰かが生きていくために必要なものを作り出す行為なのだ。人という無限をどこまでも探究する。決してあきらめない。途中で立ち止まらない。決め付けてわかったようなことを言うなどもってのほか!おそらくどのような仕事でも、不断の探究が必要になる。「知っている」といって立ち止まるのでなく、「知る」ことをどこまでもやめない。そのためには「知らない」ことを潔く認める。そんな営みが必要になる。それは「真摯さ」という言葉の中味なのだと思う。いい仕事の核とはこれなのかもしれない。そう考えるとき、これらの詩が少しだけ私に近いような気がするのだ。音楽の素質と力に恵まれた弟子に向けた『告別』も、堕落の末とうに失った震える弱いアンテナについて語られた『汲む−Y・Yに−』も。粗忽者の私はよほど注意深く扱わなければならないが。
   グループ"第5回批評祭参加作品"
   Point(4)