【批評祭参加作品】いい仕事の核/深水遊脚
 
に』という彼女のエッセイに書かれている。詮索したい方はそちらに当たってみるといいと思う。そのY・Yの言葉は、『告別』の師匠に劣らず厳しかった。「初々しさが大切なの 人に対しても世の中に対しても 人を人とも思わなくなったとき 堕落が始まるのね 堕ちてゆくのを 隠そうとしても 隠せなくなった人を何人も見ました」というのがその言葉だった。人を人とも思わなくなったとき、という言葉を自分以外の誰かのことだと思える人は羨ましい。私は堕落しきっている。でも、気弱な部分はある気がするから、堕落した地点から這い上がることくらいは許されるのだろうか。茨木のり子が同じように考えたかどうかは分からない。大人になることを、
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   グループ"第5回批評祭参加作品"
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