【批評祭参加作品】いい仕事の核/深水遊脚
く必要だ。好き勝手なことをいう動物たちもまた必要だ。あんたは落ちこぼれだけど頑張りなよ。どんなに下手でも私たちがついているよ、などという嘘で固まった同情などそこにはない。自分の病気がそれでよくなるからゴーシュのセロを聴きにくる。でもおとなしくゴーシュの色に染まってしまわず、ゴーシュにあれこれ要求する。動物たちは自分が欲しいものをよく知っているのだ。太い弾き手、太い聴衆、何よりも両者ともに正直。こんな関係が音を磨く。
これとは対照的かもしれないが、冒頭に引用したもうひとつの詩、茨木のり子の『汲む−Y・Yに−』についても考えてみる。この詩のタイトルに織り込まれたY・Yについては、『一本の茎の上に』
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