【批評祭参加作品】いい仕事の核/深水遊脚
 
』という小説で冒頭にこの詩の最後の5行が引用されていたのだ。登場人物の斉藤夏姫がこの詩をとても大切にしていた。夏姫が国語教師だったときに生徒だった古幡慎一にこの詩を朗読させ、あまりのドンくささにあきれたこと、その後慎一が暗誦してみせて名誉挽回したこと、ずっと後になり教師をやめた夏姫と慎一がつきあうようになったこと、慎一をかわいがって育てた祖母が死んだこと、最後に自分が放った心ない一言を慎一が深く後悔したこと、夏姫も姉を亡くしていたこと、その姉の、そして自身の元彼でもある一本槍歩太の描く絵に、『告別』の最後の5行に描かれたような光の筋が描かれていたこと、などこの『告別』という詩が小説の様々なシーンで
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   グループ"第5回批評祭参加作品"
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