【批評祭参加作品】いい仕事の核/深水遊脚
ンで関係してくる。寂しさでもって何かを形作るイメージ、空のパイプオルガンで音を奏でるイメージはこの小説の底を流れ続けるものと共鳴するのだろう。
この小説には、前編にあたる『天使の卵』がある。この小説を手にとって買う気になったときのことはぼんやりと覚えている。20代の頃で、仕事のことも人とのかかわりも全然うまく行かなくて、どうしていいかわからない状況だった。特に会社の女子社員からは嫌われまくっていた。小中学生のときにばい菌のように女子から嫌われていた私はそうでなくても女性と普通に話すことが苦手だった(もしかしたら自分の被害妄想が描かせた虚像だったのかもしれない)。そんな状況から人はあがいていろん
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