【批評祭参加作品】いい仕事の核/深水遊脚
とても好きだけれど、真剣に読めば読むほど後ろめたい気分になる詩がある。自分の核になっていたはずだと思っていたのに、今の自分からは遠い、そんな詩がある。
年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外に向かってひらかれるのこそ難しい
あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと……
(茨木のり子『汲む−Y・Yに−』)
なぜならおれは
すこしぐらゐの仕事ができて
そいつに腰をかけているやうな
そんな多数をいちばんいやにおもふのだ
(宮沢賢治『告別』)
宮沢賢治の『告別』との出会いはわりと最近のことだった。村山由佳の『天使の梯子』と
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