原風景5/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
 
を出し、本を買った。
 たった一冊の本を買うくらいで、清水の舞台から飛び降りるような気持ちになるほどの小ささに、つい口元が緩む。
 もっとも本は、日給の四分の一くらいの値段だった。
 そのくらい、安くこき使われているのだと、あらためて思った。
 思うと同時に、また怒りがぶり返し、みぞおちの辺りから熱がこみ上げてきた。
 本屋から出ると、胸ポケットからショートピースと100円ライターを取り出し火をつけた。煙を吐き出し、少しだけ怒りを空中に持って行ってもらう。

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