未明、みえないまま/渡邉建志
 
やわらかさは、かつて感じた鋭敏な尖りと、ちがうほうこうへ向いていて、なんだかとてもほっとするし、これはすべてが語り口調で書かれているというわけではむしろないのに、あたたかな語りを感じる。


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いつだって
森を燃やすこともできたし

「て」とか「し」だとか、つねに次に話されることを、耳をそばだてて聞こうとする。こんな話がされている時間は、夜だろうと思っていた。でも、これは未明だと思った、今、曇った朝。「暖かい食卓を作ることだって」。くりかえされる、「だって」がこんなにあたたかく、つよ
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