夢を見たら書き込むスレ[444]
2005 04/10 23:31
待針夢子

頭の中でグルーミーが技をかましまくっている。それを隠しながら、仕事をしていると、パソコンのモニタでも暴れ始めた。ピンクがそこかしこに散るので、見蕩れる。タイルの上の砂の濡れた感触が気持ち悪くて屈み込んだら、実家の改装前の風呂場だった。五右衛門風呂の中で踊るグルーミーは、二匹の金魚にかわっていた。銀の水泡と錦の蝶尾。蝶尾が、水泡の尾をつつき千切り、鱗を剥いでいる。でもこれは私じゃない。水泡は痛がって身もだえしている。けれどけして逃げない。でもこれは私じゃない。水泡の頬袋は片方破けてしまった。二匹の金魚は排水溝に近い場所でくるりくるり戯れ続ける。でもこれは私じゃない。翠のトタンでできた扉を開けると、高校の中庭に続いているはず。洗濯機の中からハンカチを引っ張り出して扉を開ける。満開の藤棚の下で、初恋のあのひとが、金色の悪魔のように完璧に微笑んでいる。仲たがいしてそれきりのあの子も、猫みたいに毛づくろいをしながら甲高い笑い声を上げている。三人で同じシートに寛いで、近況を報告しあう。校舎の隙間から、甘く腐った海風が吹き上げてくる。藤の房がくるんくるん落ちてくる。そうか、二人がこんなに優しいのは、私が髪を切ったからだ。本当によかった。嘘じゃない。夢じゃない。涙が出た。

めがさめた。海風はまだ鼻の奥に残っていて、切なくて愛しくて愚かで、幸せな夢だった。泣くわけにはいかない。枕元でグルーミーが爪を振り上げていて、唇のはじだけでも笑えたから、よかった。
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