しりとりの詩 2nd[77]
2005 09/23 22:02
蒼木りん

わたしの生まれた頃は白黒だったらしく
草木も皆の肌の色も柔らかかった
田舎の山から降りて
都会の隣の市にはデパートがあって
煌く贅沢の象徴
買ってもらえないものばかり
玩具売り場を過ぎるとき
笛を吹く犬
太鼓をたたくモンキー
その奥に
足の長い金髪のお人形さん
綺麗なものが欲しかった
それは本能?
硝子の貝殻
エメラルドの指輪
溢れるキャンディーの棚
階段を降りるごと
みんな通り過ぎて
甘いあまい鯛焼きの匂いだけ
母の気を緩めさせた
茶色の紙袋を抱えて温かい
そのときは
帰り道の石畳の隙間を
思い浮ぶほど見つめることはなかった
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