しりとりの詩 2nd[606]
10/18 06:29
笠原 ちひろ
暮れ方、わたしは縁側で
狂ってしまった妻を見る
レースのエプロン、
ととのえられた花壇
洗濯ものの匂い
ファンシーな表札
無理矢理そんなイメージに
自分自身を押し込めて
狂ってしまった妻を見る
おかずが毎日きっかり3品なくっても
シャツにアイロンかけてなくても
だんだん白髪やシワが増えても
きっと愛していけたんだよ
それが生きるということなんだよ
自分の頭の調律を
おかしくしてしまったのを
わたしの母のせいにして
あまがえる
妻は狂ってしまった
きっと子供の頃
こんなふうになりたいと
強く願いすぎたんだね
一人ぼっちの縁側で