しりとりの詩 2nd[466]
02/07 23:13
Giton

(円錐曲線)
身動きすれば、君とぼくの航跡は、なめらかだけども、微分する:
離心率にあやつられ、出会いもあれば、擦れ違って離れるときもある;

(楕円)
あるときは、ゼロのまわりを経めぐって、
決して遠くへ脱け出せぬ、
ひとりになりたい、冒険したい、
それでもぼくらは離れられない楕円の虜;

(放物線)
あるときは、出会った瞬間ふたてに別れ、
決して二度と出会いはしない無限遠へのひとりたび、
平行なのか?平行じゃない!漸近するか?漸近しない!
離れて行くか?離れもしない!交点は?無限遠、宇宙の水平線!
十年旅して振り返るなら、
ふたりの軌跡は、最初の一時間を丸写しした拡大図;

(双曲線)
そして、あるときは、ふたりの軌跡は決して交わらぬ、
時空の四つの象限に、手足伸ばして根強く探す君の影、
法則のように確実に、ぐんぐん近づくきみとぼく、
それでも決して触れはせぬ、
出会いの定めは、無限の彼方のさらに先!

(終息点)
こうして時空の円錐は、どこで切ってもままならぬ、
それならいっそ、ぼくたちは、螺旋を描いて落下して、
無一物のゼロ点で、やっとふたりはひとつになれる、
――そして、ぼくらは無になった。
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