しりとりの詩 2nd[460]
01/16 07:03


灰の中にある言葉を
手探りで見つけ出そうとして
男はいくつもの声を聞きのがした
それは男に向けられた言葉であり
同時に何かしらの思いであったが
男は自分の言葉を探すことしか考えられなかった

最後に見つかったのは
刷りきれて消えかけた欠片のようなものだったが
男はそれを丁寧に拾い集め
しばらくの間じっと見つめていた
やがて男は立ち上がると
ゆっくりと確かめるように歌を歌い始めた

その歌に声はなかった

言葉と旋律だけがただ静かに辺りを包みこんで行った
それは遠く近く
誰のもとでもない場所に腰を下ろし
何も主張することなくあたりに響き渡った

どこまでも白く澄んだ 声のない歌だった
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