しりとりの詩 2nd[333]
2007 11/15 05:00
mizu K

今日船は出ますか?と聞いてきた若い女の髪はびっしょりと濡れていて、
私はさあこの雨ですからねえ、でも行くだけ行ってみましょうと船着き場
までのすべる路上を注意深く運転していった。女は落ちつきなく腕時計に
ちらちらと目をやったりきょときょとと車内を見回している。あのう煙草、
お持ちじゃないですか?いえ、いちおう禁煙でして。そうですか。そうい
えばうちの親父はチョーカーなんて犬の首輪みたいだと言ってたっけなん
でこんなことを思い出しているんだ。えー、お客さん寒くないですか?い
えべつに。そうですかーだいぶ気温が下がっ...。去年。は?ちょうど
1年前の今日このへんでひき逃げがありましたよね。...ああ、そうい
えばそんな、たしかはねられた方は即死で...。それ、私なんです。ぎ
ょっとしてバックミラーをのぞくと後部座席には誰もおらずまさかと振り
向くとシートに黒いシミができていて一瞬ぞっとした、ら突然ごっという
鈍い音がしてフロントガラスになにか被いかぶさった気配、ぱっと振り向
くと血みどろになったさっきの女のにたにた笑った顔がぺったりはりつき
思わずうわあああ!と叫んで飛び起きたら3班全員を起こしてしまって、
おまえ昼間のバスガイドさんの恐い話聞いてちびってたからなーひひひと
からかわれたのが修学旅行の第1夜で、罰ゲームとして先生の見張りをか
いくぐってジュース買いに行くのを5往復もやらされ散々な出だしだった。
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