しりとりの詩 2nd[269]
2006 07/12 02:25
まきび

頑丈な歯で肉を噛むことと
入れ歯でピーマンを噛むことは
同じくらいの労力だろうかと考えたところで
老いらくの心などわかるはずも無い

今 ライトアップされた遠方の橋を見ている君
足元の少し先にある水に気づいている?

君のあどけなく華奢な肩を見るたびに
僕は手を引っ込めずにはいられない

なさけない僕と共に歩んでなどと
いえるわけが無い

しばらくすると目の前を船がプカリプカリ
屋形船からは誰の声も聞こえてこない
それどころか明かりすら消えていて
まるで幽霊船のようだ

君はだらしなく組んでいた脚を締め
ハイヒールで地を踏む
「帰りましょ」
君が言った
スカートが悲しそうに風にはためいた
肩がさっきよりも厳つくなった

僕は突然決断を迫られた
入れ歯をはめた骸骨が
二人並んで歩いてる
非現実的な遠くが
見えた気がした
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