【petit企画の館】/蝶としゃぼん玉[353]
2017 01/21 01:37
ハァモニィベル

>>352 ご寄贈感謝します。
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長庚さんのコメントが短すぎて強烈ですが、

「比較文学の先駆的作家」、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)
がここで顔を出すのも、興味深いですね。



比較文学は、世界的視野と博識、固定分野に囚われない自由な発想が、評価され得る(又は
報われる)分野ですが、そこで魅力を発揮する、ハーンという存在を、きちんと、見つめよ
うという―ことだとしたら―、なかなかのチョイスだと感銘をうけました。



ハーンが、東大で教え始めたのは、明治29年(1896)のようですが、
そのとき、詩に関する講義の中で、英国のバラッドについて解説しながら
唯一、全文を引いた作品が、次のバラッドだった、と言います。

   ”The Cruel Mother”   『残酷な母』


  (以下は、私による大意訳)


  女がひとり 茨の上で 赤子を生んだ。

  微笑まないで そんな風に 可愛い赤ちゃん

  ニコニコ わたしを 殺さないで。


  女がひとり 月の明かりで 掘った墓穴

  中に、可愛い 屍骸を埋めた。


  ある時、教会へ行く道すがら 女の前に

  立っていた。 可愛いこどもが、門前に


  「おお、可愛い坊や。 わが子なら
   絹や毛皮を着せるのに」


  「おお、やさしい母さん。 わが子には
   冷たい土をくれたのに。

   でもね、僕は天国だ。
   あなたは、地獄を抱えてく 」





 時折、ナーサリー・ライムでも、こうした残酷でパンチの効いた
ものがありますが、このバラッドは、宗教的な影響もありそうな
気がします。
 但し、責めている様にも、許している様にも、受け取れる両義性のある
作品になっています。
(私の意訳では、もっと一般的に、
最後を、人間の罪と罰として訳しました)



まあ、
人間にはいろいろ、境遇や立場がありますが、

ふつうに考えると
きちんと育ててもらえず、
土に埋めれてしまう
というのは、
私には、けっこう「地獄」のように思えますが
保身して生き残った者の場合は、はたして「天国」であるのか、
それは、まったくもって(謎)です。

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