2017 01/13 03:50
ハァモニィベル
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>>321*企画
テーマ【歴史】の中における、
プチテーマ【ミステリ】という 絞りこみ
というわけですね。(といってもまだ広いですが)
即ち、
歴史×ミステリ(×文学 とか ×詩 など自由)
つまり、
ここまでは、「歴史」を絡めた、作品や座談でしたが、
ここからは、「歴史」にも絡めつつ、「ミステリ」にも絡めた、作品や座談を。
と、いうことですね。
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考えてみれば、蛾兆さんが、(この場所は、じつはこういう場所だったのでは)と、ラスコーに思いを馳せた
ように、ミステリになる要素というのは、既に多様な場所に潜んでいて、「歴史」と事情は変わりません。
つまり、日常から歴史が発掘できるように、ミステリも発掘できるわけです。
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「ミステリ小説」を取り上げてみても、必ず謎が解かれるか、といえば、、そうでないケースもあるわけです。
イギリス初の推理小説とされるコリンズの『月長石』に刺激された文豪ディケンズが連載を開始した『エドウィン・ド
ルードの謎』という作品は、作者の死によって未完のまま謎が残されました。
同様に、レイモンド・チャンドラーも未完の作品を遺しています。こうした未完のミステリに他の作家が解決編を
書くケースもありますが、ご本家が書いたらそうなるか、という「謎」はやはり残るでしょう。
また、『思考機械』のジャック・フットレルのように、作者と最後の作品が、タイタニック号と一緒に海に沈んでし
まった場合などは、謎部分どころか、失われた作品の内容丸ごと惜しまれる謎、と言えなくもありません。
未完の謎を残した作品は日本にもあって、そのなかに、
『美の悲劇』 という作品があります。
作者は、木々高太郎――昭和初期のミステリ作家(当時は探偵小説作家といった)で、
「探偵小説文学論」を唱えて、同業の甲賀三郎と論争した人です。
この木々高太郎が、その持論を実証するために、昭和28年「宝石」誌に連載スタートしたのが、
上記作品でしたが、これは、作者は生存してましたが、結局、中絶のまま未完となりました。
(やがて、松本清張『在る「小倉日記」伝』が登場し、ミステリ文学の果実へと繋がります)
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何も、ミステリに限らず、漱石『明暗』のように、未完の作品は、その後が「謎」と言えるわけですが、
そうした誰でもが感じる「謎」でなく、実は、空白部分があるのではないか、と鋭く発見する「謎」もあります。
『源氏物語』。そこには、どうも 「桐壷」・・と・・「若紫」の、あいだ、に断絶がある。何か一巻、抜け落ち
ているのではないか。そして、それは、藤原定家が名のみ言及した、あの巻 「輝く日の宮」 ではないか。
【アントールド・ストーリー】
を発見することが、ミステリを発掘することになる、とも言えるでしょう。
実際、この謎には、風巻景次郎の推理論考に示唆されて書かれた、紫式部が探偵役の小説( 森谷明子
『千年の黙(しじま)』)があります。
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他に、歴史×ミステリ というと、
例えば、
西鶴の『本朝桜陰比事』 という事件もの、
や、
いわゆる「大岡政談」 などがありますね。
後者を読んでみると、
科学家が探偵になる以前は、安吾の『不連続殺人事件』に通じるような
文学的洞察の探偵、いわば詩人が探偵だったんだな、と感じられて意外に面白い。
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などと長々と書きましたが、折角の企画も
誰も来なければ、すぐ終了です。
もし迷い込んでもいいと謂う方は、
今回のぷち企画で、しばし、
身辺のアントールド・ストーリーを探しながら、
詩人探偵になって遊んでみて下さい。
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(それでは、長庚さんよろしく)