2017 01/11 21:24
ハァモニィベル
長庚さん エフェルと自由の女神について 有難う御座いました。
蛾兆さん ラスコーの壁画についての追記ほか、有難う御座いました。
さて、----------------------------
ここでは、いま、テーマを〈歴史〉ということにして、
とくに、ジャンルを問わない作品の投稿と、気軽な座談を
行っています。
歴史(個人史も含めて)に絡んだ話なら何でもOKです。
また、作品の紹介もお待ちしています。
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★〈歴史〉に絡んだ詩ということで、私からたとえば、
安西均 作 「実朝」 という作品を紹介してみます。
「実朝」
その目は煙らない
その目は寂しい沖にとどく
遥かなる実存の小島へ
・・・・・・
と実朝の「目」で始まるこの詩は、
さらに、
その目はズームレンズのように見る
その目は鹹(にが)い永劫が
しなやかにうねり
割れ
砕け
裂け
散ってしまうところまで細かく見る
と、続いて
その目はいつも涙に磨かれている
その目はなんでも見えすぎるために憂愁の光がともる
とやはり「その目」をみつめ続け
そして、ラスト
だから その目は雪の階段にひそむ暗殺者の
後ろ手に隠した白刃まで見ていなければならなかった。
で終わる詩です。
「実朝」というタイトルを、見事に昇華した作品で、
史実を使った部分が浮いていないどころか要になっているのが
さすがです。
*
建保7年(1219年)1月27日、雪が二尺ほど積ったその日、
参拝した鶴ヶ岡八幡宮で、甥の公暁にって暗殺された
鎌倉幕府第四代将軍、源実朝は、そのとき28歳であった。
政治家というより文人肌であった実朝の
詠んだ歌、
大海の磯もとどろに寄する波
破れて砕けて裂けて散るかも
これが、先の詩「実朝」のモチーフの一つになっているのは
ご存知の通りです。
*
安西均(1918―94)の詩には、他に、
炎昼記
死体
これは自動車運送事業運輸規程第二十八条十一
項に明記された物件である。夏も深まったある
昼さがりのこと私は一枚の汗まみれな古着のご
とく吊り革に垂れながらバスに揺られていた。
・・・〔略〕・・・
げんに今ここに並んでいる乗客たちの素知
らぬ顔こそタブーを冒し合っている証拠ではな
かろうか。彼らはめいめい見えざる死体を擁し
ているのではないか。それでなくてなぜあのよ
うに疲れたり上気したり美しく化粧して街に出
かけることがあろう。生きている者の世では誰
もが何ひとつ出かけた先の街で確実に目的や要
件や満足を得たためしはないのである。その不
安のために人びとは秘かに見知らぬ者の死体を
持ち運ぶのである。
・・・
というやはり退屈させない作品が、あります。
*
(みなさまも、何か良い作品があったら
ご紹介よろしくお願いします)
また、挑戦してみた作品、実験してみた作品など
思いついたら吉日ということで、
ぜひ、ご遠慮なく、記事に載せて頂きたいと
思います。
本テーマ内のプチ企画として、
(歴史ぷち企画)
を投げていただくのも、大歓迎です。
(ではまた)
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