【petit企画の館】/蝶としゃぼん玉[295]
2017 01/02 10:30
ハァモニィベル

>>293(作品 by蛾兆さん)

「気球爆弾」への着目と、広島の折鶴の挿入。

提示される話題のチョイスがよいですね。予備知識のある人が
読んだときと、ない人が読んだ時では印象の変わる詩です。
なので少し改訂されたようですね。
当初、単なるダイジェストという平板さを感じましたが、書き手の目線が
だいぶ遠距離からであったのが、作者が二、三歩近づいた分よみやすくなったようです。



 大量のメールを送りつける悪辣な行為を「メール爆弾」と呼びますが、以前何かで読んだ
記事によると、広島へ内外から送られる千羽鶴は、その廃棄処理に一億円かかる、というのが
ありました。はたしてコストの計算が正しいのか不明ですが、贈る方の
贈った大量の善意が、贈られた方の側では大量のゴミであるとすれば悲喜劇です。

「気球爆弾(風船爆弾)」もまた、ヒロポンまで配られ作らされた乙女たちの主観を離れた
偏西風の彼方で、妊婦一人と5人の子どもを吹き飛ばすとは思わなかったでしょう。

悪意を善意になんとか変換し続けていくのが、天命をおびた政治家というものでしょうが、
その反対の、善意が悪意へ変換されることが多いようです。

振り返れば愚かだったと分かることが、前を見ている時には気づかない、というより
正義のように思い込んでいる。それが、人間の哀しさでもあり、いじらしさ でもある
のでしょう。


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