2016 09/17 21:03
ハァモニィベル
《子どものための幻想詩》
「ドーナツの中心だけを食べている男のはなし」
時折、じぶん自身が訊いてくる
なぜ、天使と契約してるのか、と
じぶんからの質問ほど、自分が答えられない問いはない
乱雑な部屋を探しても、
何処にも契約書らしいものは見つからず
そもそも、一度も天使には会ったことがない・・・
盲目の少女の手をひいて歩くのが、気づいたときには俺の役目だった
クーリングオフした連中の多くが次は悪魔と契約しはじめる歳にも
俺は、天使との契約を更新した
盲目の少女の手をひいて歩くのが、ずっと俺の役目らしい
風の日も 雨の日も・・・
晴れの日も・・・
愉しいひと時が、苦しい時間に包(くる)まれている
悪魔は俺を気の毒がって
たまに声をかけてくる
酒を酌み交わしながら 俺は言う
悪魔よ、お前が俺より もう少し腕相撲に強ければよかった
と。すると、
悔しそうに、悪魔は俺の肩をやさしく叩いて
「あなたは神だ」
と。その時、
真顔で言った
*