【petit企画の館】/蝶としゃぼん玉[135]
2016 08/22 20:24
ハァモニィベル

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【詩人の本棚へ寄贈します】

◇ 『文学的自叙伝』 S・T・コウルリッジ  ・・・・・(1)
◇ 『モルグ街の殺人』 エドガー・A・ポー  ・・・・・(2)

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批評の源流へ。地層の奥から視界に入らなかったものが見えてくるかも知れない。
想像力と創造力について考えるために。



 (1)は、「詩人の想像力」について考えるために。
(ワーズワースやコウルリッジにとって、読者の共感を掻き立て、ハッとするような驚きを与える力を持つのが詩であった。)
コウルリッジは、既知の結合である「ファンシー」とは区別された「イマジネーション」の持つ(無からの)〈創造力〉について踏込んでいる。


 他方、推理小説を創造した、かの エドガー・A・ポーは、人間の発想に無からの創造力を認めない立場でのイマジネーション論を持っていたが、(2)の冒頭部分に、その「イマジネーション」論が垣間見えるのにお気づきだったろうか。
(分析には発想=思いつく力が必要だ。無から発想はできないから、既知の情報を新しく結合する「ファンシーやイマジネーション」が求められる。だが、発想があれば分析できるわけではない。ファンシーによる結合は確かに珍奇だがアホっぽく、整合的調和的な成果(美)を達成するのはイマジネーションを働かせた分析の方である。)※分析=理解/表現と置換えてみるとわかりやすい。 
その具体的例示があの小説=(2)なのだ。

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 批評の文脈であの小説を読む者は、あまりいないだろうが、ポーの「イマジネーション」論にみえる整合的調和力こそ、ハッとするような驚きを掻き立て、読者に共感を与える力を持つものだ、とわたしは思っている。



# 石村さん二冊めのご寄贈、有り難う。

 
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