詩ヌマデアイ詩テ[730]
2016 06/04 23:13
るるりら

石村 利勝さんへ

立原道造のパスティーシュ作品を 拝読いたしました。
わたしの場合は、立原道造の良き読者といえるほどには 彼の作品群を 読み込んではいないので、投稿させた作品が もと立原道造の詩集の中に あの作品があったら どのように感じるかについては、わたしには判断のしようがありません。

ただ、実は わたしも 立原道造の影響を受けて書いた作品があります。わたしのは、 パスティーシュとは言えない 立原道造オリジナルにあるような喪失の陰影をひっそりと感じさせるような詩とは 全くの別物となっております。
類似させている点は、ソネット形式であることくらいですが、照会させていただきます。

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【飛行模型】

露草の花は ひかりをうけて翼のようだから 
おだやかな 面もちで 飛び石を踏み外さないように歩く
縁側で 竹ひごが 飛行機雲のように しなやかにのびている
そのなかでも 軽量に飛行荷重に耐えられる強度の竹ひごを 選ぶ 

細い腕からは
もっとも うつくしい雫のような円が現われ
もっとも うつくしい直角から、シンメトリーの翼が生まれる
暗い雲をも押し広げるにはプロペラより むしろスクリューと呼ぶのが相応しい

死の島の上を 渾身のゴム動力の一機
白い模型飛行機が 旋回するのだ
漏斗状にへこんだ 彼の胸は 高鳴る

島には 廃墟となった建物が 屋根を失い
雨風を受け入れ 死者も そこにいる
さびしい魂のその島へ 彼は、飛行機を飛ばす 
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