詩ヌマデアイ詩テ[112]
2016 03/15 20:52
澤あづさ

●カイトへ。
http://bungoku.jp/ebbs/bbs.cgi?pick=8690#20160314_238_8690r
↑文極での話の続きしにやむなくログインした。

葉月二兎さんの『papilibiotempusolare-loremipsumanniversarium』の、
http://bungoku.jp/monthly/?date=201209#a08
あのミラクルクリティカルな、文極優良レベルの【白蝶の繭】と比べ、

http://bungoku.jp/ebbs/bbs.cgi?pick=8690
↑カイトが書いたこの【蝶の蛹】はなんだ。という話である。
※紅月さんの『matria』については、5月26日まで待つがいい。

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葉月二兎さんの『papilibiotempusolare-loremipsumanniversarium』については、
http://adzwsa.blog.fc2.com/blog-entry-1.html
↑あたしがHHMに投稿したヒヒョーもあるんだけども、ひたすら長いし概要のすっきりまとまった部分もないので、ここでは【白蝶の繭】についてだけ説明する。ちなみに上記にツェラン『ふたつの像』飯吉訳の全文引用があるよ。ツェランに興味あったら目次から飛んで読んでね。
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http://bungoku.jp/monthly/?date=201209#a08
この詩が描いているのは、終戦記念日の黙祷だ。(もちろん個人的な感受と読解に過ぎない。)このことは「詩のスタイル」「題名の最後のanniversarium(英語のanniversary)」「詩の最後の【天皇よ、走れ。】」だけで(つまり初見一発で)おおよそ想像できる。

題名の後半は「(do) lorem ipsum anniversarium=毎年めぐる悲しみそれ自体を」を意味し、キケロ『善と悪の究極について』1章10節32-33段(戦争に関する記述あり)を引喩している。このことは、「loremipsum」をググってウィキ「Lorem ipsum」を読めばだれでもわかる。

詩中に登場する【白蝶】は、亡命貴族で有名なナボコフとゆかりの深い、クロホシウスバシロチョウ(学名「記憶の蝶」)だ。つまり「黒星=敗戦の記憶」すなわち終戦記念日を象徴している。この読解には、相当な文学力か生物学力か検索力を要するが、「ウスバシロチョウは蛾みたいに繭を作る」くらいのことは、「白蝶 繭」でググれば一発でわかる。

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果たして『papilibiotempusolare-loremipsumanniversarium』は、

●papili(oni) BIOtempus (quia) (v)olare. (do)lorem ipsum anniversarium..
→蝶にバイオな時間、なぜならだれしも飛ぶ。毎年めぐる悲しみそれ自体を。

という意味だ。前半は読解が執念深すぎるかもしれないけど。この程度の読解は、「Lorem ipsum」をウィキったうえでラテン語文法をググりまくれば、どこのどんなあほでもできる。あたしにすらできたのだから、できない者はバカ確定。

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これが文極優良レベルの象徴主義だ。(最近の選考基準は知らんけど。)

象徴主義とは、マラルメとかヴェルレーヌとか近代詩の一派で、(つまり現代詩的ではなく、)下記のようなことである。

▼ヴェルレーヌ『詩法』堀口大学訳3-4連
●引用──────────── 
われら詩に「色彩(あいろ)」を求めず、
「配合(ニュアンス)」を、ただ「配合(ニュアンス)」をのみ!
げに「配合(ニュアンス)」ぞ、夢を夢、
笛の音(ね)を角(かく)の音にこそ婚(めあわ)すれ。

刺すごとき「鋭き言葉」、
酷き「諧謔」、不純なる笑いは避けよ、
これら品くだる料理の韮か
「天」の目をさえ泣かしむる!
────────引用ここまで●
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