○現代詩フォーラム短歌部○[479]
2006 04/06 09:40
ピッピ

【総評】

一番言いたかったのは、
「エロとエロスは違う!!」
ということなのだ。つまり、エロスが官能的だとか耽美なものであるのに対して、
エロというものは『なま物』なのである。それは文学的であったりはしない。
エロは直接的に脳に響くものであり、文学的なコーティングをして
ワンクッションを置いてしまうとそれはエロからかけ離れてしまう。
さて、これを短歌にするとどうなるのか…うふふ
ということを期待して読んだのだけど、みんな真面目に短歌を書いてくれて
個人的には肩透かしを食らった感じでありました。と言いつつも、
ピッピもかなーり「エロスに憧れる文学少女チック」(…ってこれじゃそのまんまだ)的な作品になってしまった。
ピッピがポイントを入れた作品はその辺りの吟味。
しかし、普段ではあまり読むことの出来ない、
それぞれの持つ歌人的世界での最大限のエロティシズムを読む事ができたのは
とても新鮮味があって面白かった。始まった当初は難色を示す人もいたし、
ピッピも「このテーマで大丈夫なのだろうか」と思ったけれど、
蓋を開けてみればこんなに多くの人が参加してくれて感慨無量です。

あとお詫びをしたいのは、「和尚」はどっちかというと、というかあからさまに「エロス」だった。これは猛省したい。お題を考える時に全く気づかなかった。
実際このお題で苦戦した人も多いと思われる。
逆に「誰」は非常に良作が多くてほっとしている。
これくらい無個性な言葉のほうがいいのだろうか。こういうのばかりだとそれこそのっぺりとした題詠、
というよりも題詠の意味をなさなくなるけれど、1つくらいはいいのかもしれない。

【お題別セレクト】

・和尚

亡き青き春を売った娘の前で眠りし和尚は起きてがびがび
関根悠介

・猫

放課後に発声練習する君の猫がぴくんとするほどさわわ
関根悠介

・無意味

指先できみのりんかくたしかめて境界線の無意味をおもう
ETOILE

涙目で「バスタブの縁に上ってたかどうか教えて」なんて無意味だ
合耕

・そこそこ

そこそこの躾をしたらお便器の気持ちになってしまったね、きみ
こもん

「この本は?このビデオとか何なのよ!」「君のほうこそこそこそ何を?」
魚虎

・字面

・分量

・誰

ねえ誰も覗いちゃだめよ更衣室 蝶や獣や人魚の匂い
ふるる

「そう言えばそなたは誰じゃ 名を名乗れ」「気の利く御菜(おかず)クロエ見参」
クロエ

辱(はずか)しめうけたいんでしょ誰よりも 「青空おかずにオナニーできる?」
こもん

「こんな事してあれだけど、この件は誰にも言うな。ピーちゃんにもだ」
魚虎

・マシュマロ

焼いたら、溶けた蜜のところが少し焦げるんだよ
マシュマロ、
月本

「ゴムにマシュマロいっぱいいれてして」と裏庭で叫ぶ老婆はくちゃちゃ
関根悠介

マシュマロの過剰包装に抗議して湿ったままの指を差し入れる
合耕

・永遠

函(はこ)のなか勃起している少年に首輪をつけてあげれば永遠
こもん

・血

眠そうな目で消火器を扱ってしまったから血はここに溜まったのか
合耕
スレッドへ