映画館ポエム座[174]
2007 09/24 08:31
Six

山田宏一『トリュフォー、ある映画的人生』(平凡社ライブラリー)を読了し、フランソワ・トリュフォーの映画人間ぶりは彼の人生に宿命づけられたものなのだなあということがつくづく思われたわけですが、映画という表現で自分の人生を物語った、そのできばえの不安定さ(失敗作も多くあったらしい)が却ってトリュフォーの表現者としての率直さを表している。
わたしはトリュフォーの映画を多く見てはいませんが、『あこがれ』や『日曜日が待ち遠しい!』などできびきびと動く女の脚の健康的なエロスや、『ピアニストを撃て』の主人公のほとんど何も出来ないダメ男ぶりの魅力がとても好きで、見れば「これがトリュフォー」と分かる監督の個性を愛しているのだと思う。
で、『トリュフォー、ある映画的人生』という本は、フランソワ・トリュフォーの人生を、それも主に若い頃にメインを据えて描かれているだけに、青春物語の一種としても読めるし、ヌーヴェル・ヴァーグ前夜のフランスの映画界を取り巻く事象の記録としても読めます。
しかも、映画を、とてもとても見たくなる。トリュフォーだけではなく、ロッセリーニ、ルノワール、ゴダール、ヒッチコック、オーソン・ウェルズ、コクトー、エトセトラ、エトセトラ…。
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