雑談スレッド6軒目[261]
2005 04/29 11:32
藤崎 褥

眠っていたところ、凄まじいにおいがする。
形容すれば、焼きすぎの焼き芋のような匂い。
このくそ暑い日に焼き芋かよ…と、半分夢の世界で毒づいていた。
しかし余りにしつこく臭うのである。
夜中までやんちゃしていたものの、こうも芋の匂いを嗅がされると、寝ていられない。
一つか二つ、つまんで食べてやろう…と、寝室を出た。

寝室を抜けると、そこは煙の世界だった。
階段から普段は開放してある猫の部屋まで煙に覆われている。
「や、焼きすぎだろ…芋に何の恨みがあって!?」と思い、慌てて一階へ。
そこである事に気付いた。
我が家では一人に一つ外来の客とは違うスリッパがある。
なので玄関にそのスリッパがあるのか無いのかを見るだけで、在宅かどうかが判る。
そこには四人家族のうち、僕以外の全ての人が出かけている『三つ』のスリッパがあった。

冷静沈着、クールな藤崎君で通しているはずの僕も…非常に慌てた。
しかも階段を下りていくにつれて、煙が濃くなり前方視野がどんどんと悪くなる。
ようやく煙が出ているところへたどり着いてみると、そこには、真っ黒になった『かつて鍋だった物』と思われる物体が火にかけられ、煙を噴出していた。
その下では猫が不思議そうにその様子を眺めている。
小さい頭なりに何かを感じているらしい。

最近その鍋を使った記憶は鮮明に残っている。
…昨日の夕飯だったお芋入りのハヤシライスである。

慌てて火を消す。
そこまで慌てていて口を押さえるのも忘れ『( ゚д゚)ポカーン』の顔を作っていた為、肺が痛くなるほど煙を吸っていたので、とにかく部屋中の窓を開放していく…と、外でざわめきが起こり始める。
「お、おいっ!煙が出よーるぞ!」
近所で一番親しくしている隣人の声がしたかと思うと、即座に家のインターホンが鳴る。
大事には至らなかったので、事情を説明してお引取り頂いた。
おっちゃんにも言われたが『死ぬところだったぞ』と。

ハヤシライスは大好きだが、ハヤシライスと心中はしたくない。

しかし、何かあったらすぐに来てくれる隣人の暖かさ。
それを知っただけでも、僕の昼食と我が家の鍋を失ったのに値するのではないだろうか。

#でも、でも!お腹が空いたYO!
#岡山県ではここ数日、大規模なものも含めて山火事が多発しています。
#皆々様も、くれぐれも火元には気をつけて。
#藤崎でした。
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