【期間限定〜9月15日】23歳以上の人の『夏休み読書感想文』(原稿用紙3枚)[14]
2011 09/15 23:58
田代深子

ガルシア・マルケス『百年の孤独』
 最初に読んだのは、おそらく20年ほど前である。
 最後に死んだ赤ん坊が蟻の群れに運ばれていくところ、南米の森に閉ざされた集落のやかましい明るさと蒸し暑さ、などが印象として残っているばかり。読み返しはじめて驚いた私は家人に「これすごい、マジすごいって」と、それこそ23歳の若者のように口走っていた。
 百年にわたる一族の物語。マコンドという土地を切り拓いたホセ・アルカディオ・ブエンディーアに始まり、6世代目として生まれマコンドの消滅と共に死ぬ運命の赤ん坊にいたるまで、一族の者たちがさまざまに生きて死ぬ。
 百年というのはとても長いようで、じつは人ひとりの人生程度の長さであることがよく解る。宗主の妻、一族の母ウルスラは、5世代目が大きくなるまで生きていた。中世さながらの隠れ里に「外界の文明」を連れてきた彼女は、マコンドが電気や電車で徐々にふくれあがり、息子や孫たちを内乱や権力に奪われ殺されるのを目撃し、自身とマコンドの収縮を長々とあじわってから死んだ。「聖週間の木曜日の朝、ウルスラは息を引き取った。」とあるのは、307総ページ中の256ページ目。
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