2010 05/16 01:32
クローバー
批評は初挑戦なので、お手柔らかにお願いします。
「早足で通り過ぎていく」ここが、ポイントなのだろうと思う。
一回目の「早足でー」は、つらく愛されないという「君」がうつむいた状態で行った。
二回目は、ハミングしながら。ハミングは鼻歌である。ふんふん歌いながら行った。
一回目と二回目の間には、大きな隔たりがあることが伺える。
「君」の気持ちを変化させたのがなんなのか、そこに主題があるのだろう。
「経血が精液とー」からはじまる、つまり性交を表しているのであろう部分。
これが「君」の気持ちを変化させた主題となる部分である。
一回目の「早足でー」が愛されないと、うつむいて行われていているので、性交によって愛を得て、ハミングしながら二回目「早足でー」となった、ようだ。
つまり主題は、愛、だろう。
(僕は、性交を愛だとすることが嫌いだ。性交は、愛がなくても成り立ってしまうおそれがあるし、愛があっても、性交ができない、ということもあるから。こういう書き方は問題ですらある、と思っている。しかし、それは作者の考え方であるから、まぁ考えないでもよしとする。)
この作品は
不幸な日常を過ごす「君」が「私」との性交によって「愛」を感じ、立ち直り日常に戻っていく
要約すると(僕の読解では)こうなる。
重要なところは不幸から幸福への変化である。
ひとつめの問題は、具体的な部分がないこと。
僕は、変化を起こしたのが、性交だけでは腑に落ちない。
愛を伝えたものを描写したほうがよい。
(しかし、別に行為を描写しろと言っているのではないことをわかってもらいたい。愛を伝えるのなら、性欲がない分、手をつなぐ、頭をなでる、などの方が、性交より僕は効果的だと思っている)。
ふたつめは変化を起こした「君」が語っていないこと。
「私」の独り善がりな自己満足に見えるのである。
「私」には変化の実感がない。
変化したのはあくまで「君」なのだ。
語っているのが「君」ではないため共感するのが難しい。
「早足でー」から始まり「早足でー」で終わる。
状況を変化させ、同じ描写でも違った意味を持たせようとした所は、良いと思う。
というところで、終わりにします。