生贄合評スレ[148]
2005 06/21 08:48
たもつ

言葉による武装の放棄を述べている以上、言葉によって武装されたこの詩の真意は、この
詩の中に表出している言葉にはない。
そして、その真意は行間にあるわけでもない。行間は言葉によって生み出されるものだか
ら。
試しにこの詩から言葉をすべて取り除いてみる。
何もない、荒野のようなものしかそこには広がっていない。
言葉によって表すことのできない何かがある。しかし、そのことについて作者は言明して
いない。何故なら、そこに言葉はないのだから。
ただ、そのようなものがあるような気がする。そしてそのようなものがあるような気がし
ているのは、もちろん僕なのだが、作者自身もぼんやりとそんなことを考えているにすぎ
ないのではないか。
ロジックのようなものを書き連ね、その結果何も語っていない、というのは不誠実だ。
いや、不誠実というのは失礼かもしれない。作者は自分の信じることを信じている方法で
表現するという作業を誠実に行っているのだから。
不必要に政治的な言葉で語り、この詩を肯定するもの、否定するものに不必要に小躍りを
させている、そういう意味で罪な詩だと思う。
罪な詩は嫌いではない。けれど、残念ながら、この詩が罪である、とあくまで僕は「思
う」だけで推測の域を出ない。
もしかしたら書いてあるとおりに書いてあるとおりに読むべきなのかもしれない。
そのあたりがどうにも掴みかねるし、掴みかねるような書き方しかしていないので、この
詩が好きだと今現在のところでは明言できない。
何より、そのように僕が推測していることこそ、この詩に書かれた言葉によるものだ、と
いう点において、自分自身が矛盾している。
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