2005 10/27 19:39
チアーヌ
わたしのとある詩に、佐々宝砂さんがコメントをくださって、俗に言う「怖い、お化けが出る」不動産物件をずいぶん探したが、見たことがない・・・ということでしたので、わたしが直接見聞きした話をとりあえずひとつ。大して怖くはないけど。
学生時代に、不動産屋でアルバイトをしていました。忙しい時期だけ、物件の紹介と案内で、雇われていたのです。普通のアルバイトよりも時給がよくて、なかなかおいしいバイトだったと思います。
わりと大きいところだったからということもあるのでしょうけど、不動産屋というのは、ものすごくたくさんの物件を扱っています。専門で一棟預かるようなこともあるし、いろんなところにばらけて出ている物件もあるし、まぁいろいろです。あ、賃貸の場合の話です。
こういっちゃなんですけど、普段お客さんに紹介するのは、「気心知れた」物件が多いです。場所もよくて、大家さんもしっかりした人だったりすると、紹介するほうも安心して紹介できますし、実際あとのトラブルなんかもほとんどありません。
だから、実際は、紹介するほうとしても、最初から席に座って、条件を言ってもらったほうが紹介しやすいんですよね。
まぁでも、事務所の中には、張り紙のほか、物件情報の分厚い冊子みたいなものも置いておきます。それをじーーーーっと見て、「これ」と言ってくるお客さんもいるわけです。商売だからもちろん紹介しますが、そういうのは、こちらはほとんど知らない物件だったりするわけです。特に、バイトだったりすると、どうしても全部を頭に入れてはいませんしね。
そういうときは、社員の人にいろいろ聞くわけです、当然。すると、「うーん、あ、そう・・・あそこね・・・」と歯切れの悪い感じの物件に当たることも・・・・。
で、「同じような条件だったらこういうのもあるよ」とか、わたしに別な物件情報を持たせてみたり。
そういうときは大抵なんかあるので、わたしは必ず根掘り葉掘り聞くことにしてました(笑
そんな物件のひとつに、国道沿いの便利な場所にあった、とあるマンションがありました。
そのマンションは、4階建てで、1階部分がテナントになっていたのですが、とにかく、入る店入る店つぶれてしまうので、ひそかに有名でした。
国道沿いで、わりと賑やかな場所で、けして悪くない場所なのに、とにかく何が入ってもつぶれてしまう。しかも、お店のオーナーが病気になって死んだりなど、あまり良くない噂も流れていました。
けれど、二階から上のマンション部分では、特に良くない噂を聞いたりすることはなかったので、まぁ普通に、紹介していました。
でも、わたしはやっぱりそこには住みたくないなあと思っていました。
なぜかというと、噂はもうひとつあったからです。
その物件はちょうど国道の脇にあったのですが、その国道の反対側の離れたところを車で走っていたりすると、夜、おじいさんがそのマンションの屋上に立っていたり、歩いていたりするのが見えるときがあるということなのでした。
その、「夜屋上に立つ杖をついたおじいさん」を見た、と言う話は、業界内にひそかに広がっていたようです。ほんとかどうかは知らないけど、その話にはまことしやかな尾ひれがついていました。その物件にまつわる噂話です。
そのおじいさんというのは、その物件の立っている場所のもともとの地主で、農業をしていたというのです。でも、国道沿いで場所がよいので、商売をはじめてみようと一念発起、その物件を建てたのだけど、商売は失敗、土地ごとみな他の人の手に渡ってしまい、気落ちしたおじいさんはその物件の屋上から飛び降りて死んでしまったというのです。
まぁこの話が全部本当かどうかは知らないのですけど、確かにそこのテナントは何が入っても長続きしませんでした。
ちなみにテナント料はけして安く無かったです。
かなり都市伝説っぽいね。都市伝説だったのかなー、たぶんそうだなきっと・・・。
そういう話は、たまーに転がってました。物件にまつわる都市伝説。みたいな話。