RT会議室突発連詩ログ保管庫[9]
2005 01/05 02:14
田代深子

いとう > 終 > 水雀 > 田代 > ベンジャミン
 2005.1.5 AM00:10-2:10
 1人3行×2周


 背中の雫


なまぬるい、その痕跡に
氷を重ねて
薄まった、雫が、声を漏らす

撫でる吐息
くぐもりゆく鏡越し
辿る指先の背

血はいらない
氷を溶きたいだけなんだ
お前はただの釜が崎の炊き出し

慰めにもならない安酒の熱
血はいらないお前の猫背に
息をかけ歯を立てるのはこらえ

白く曇った窓の外を眺めながら
網走の冬は寒いと呟くお前の
さらに終点を求めようとした

愛という名がこれほどに寒々しいものならば
お前も俺も
果てたりはしないのだろうに

背をつたう 赤い筋
アルコール 躍らせる
漏れる 嗚咽

喉にツっかえたのは産まれかけの言葉
硬い殻に包まれた彼女は果たしてどうされたいのか
とまれ 時は流れている

割ってしまうか
熱をつきたてひきずりだせるものなら
溶けもしない凍る喉も瞼も背も

さぁ 泣くがいいさ
陳腐な愛のつららを突き刺して
背中から流れる涙を吸い取ってやろう

 
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