2006 03/12 04:28
半知半能
06.3.11
一行ずつ100行連詩(最後の6行はa.i.uなので正確には105行です)
(敬称略)Monk→半知半能→いとう→a.i.u.
組み伏せたのだ
鉄壁の論理と搦め手の目線で
たゆまなくそしてつゆほどのむれを
ひとつずつ解いてゆく それはメロンソーダの気泡に似ている
扱い方には慣れている
なぜならそれは私の生業であり
同時に私の屍なのだから
うずくまって屍となり やがて金の粉になるまで
粉が撒き散らされ、いずれ靴の裏にはりつくまで
私は私の仕事を止めないだろう
雪のように灰が降る季節に
咲く一輪の花とその傍らに錆び色の屍
清掃員は完全に凍りついている
何も見なかったような素振りはしないで欲しいが
それでも清掃員は凍り凍りついている
それは決して灰のせいではなく グレーが地平線を染め上げたとしても 繋がらないことはない
廃棄された地面
そんなものどうでもいいだろうに
廃棄された素顔、素描、ありの、ままの、
おねむり 地平線はいつも今日のまま
遠くでライオン
サバンナを俯瞰
地平線の彼方の屍が私を手招いている
生を繋ぐ湖畔は、映す鏡
吠えて吠えて休んで吠える
休んで吠えたら湖にダイブ
湖底にはまた私の屍
映る 映す私がいて もうきっとその手をとってはならない
吐き出した、呼吸、泡となり、泡、泡、泡に、屍、屍、屍
ひとしきり眺めて湖底の私とハイタッチして選手交代、
再生の、儀式の、底の、光なく、闇の、中で、私、たちの、
吐息 それはライオンの雄たけび 耳のキオクとする処 いつしかの淡々しいアコーディオンの旋律
戦慄
忘れていた危機感
放たれた既視感
素猫が蹌踉 素猫が蹌踉
もう目をふさぐべきだと
屍たちがささやいてくる
ふさがれた目の地平線
そのキオクは常時繋がれていると思え
一閃して百の朝晩が飛び去っていった
宇宙から地球を眺めるとそれも一瞬のことだ
黄昏のサバンナ
朝色のカクテル
宇宙から地球を眺めるとそれも一瞬のことだ
地球から宇宙を眺めるとそれは永遠のようだ
星の刹那 屍の瞬き 視線の行く末 煌きの地平線
いつも繋がされている いつも繋いでいる
遠くでライオンが
組み伏せられたのだ
鉄壁の目線と搦め手の地平に
つゆほどのむれが降り積もり、灰
躰の裏側に貼り付く、灰
それは私と地球が一体となる媒体
それは私と屍がハイタッチする媒体
我一匹 此処に在り 光無く狼狽
アルバイトのセリフ
あ、えーと、もうラストオーダーなんですが
ライオンの屍肉は腐りました
私はふと我に返り それでもアコーディオンは鳴り止むことは無かった
どうか一緒に泣いて欲しいと言っている
拒否しよう 私には仕事がまだある
私にはまだサバンナがある
沈まぬキオクはもう無いが 私には繋がれないものがある
それでもどうか、と言うアルバイトの眼に、一閃
指を突き刺した ように見せかけて
突き刺したのは、私の骨だ
地平線は未だグレーである つまりそういうことだ
長々と私はいったいなにもなにも明らかではない、まるで
気の違ったモールス信号のようだ
瞬霧の狭間に身を投げ星霜の地平に堕ちるライオンのように
皆 母を思う
また帰ってきた
よ、 そんな一言を発するために
そんな虚言を発するままに
グレーが地平線を染め上げたとしても 繋がらないことはない、ことを繋ぎ続けたい 飛び去りゆく朝と晩に
乾杯
夜味のカクテルをテイクアウト
靴の裏の金粉にフライアウェイ
一輪の咲く花 灰、降り積もりスローリィ
パ・ノ・ラ・マ
(ス・ク・ロ・オ・ル)
サバンナの夜明け
泳ぎ回る魚
熱帯雨林スクランブルドエッグ
懐かしいメロンソーダの泡 それらは卵子
数えられない夜を数えるためのエピソード、そして朝
皆眼をぎらつかせ屍に耳をあて伝う旋律はアコーディオン、そしていつも昼
熟成を待つハイエナの群れ、粛正するライオンの群れ、そして再び夜
顛末を知る一輪花 ダンデライオンはお呼びではなかった
水底の屍にくちづけて灰、降り積もる湖の彼岸は暗い
ビール瓶七色に光りhigh,あぁ 私の眼はもう終わりか?
乾燥し、崩れ落ちる音の始まり
崩れるリズムに世界からの報復 鉄の論旨が迷走している
リズムズプリムズプリリズムリズリムリズム
雨が泥を歌い 気泡、沈まぬキオク、屍に灰が舞い
が舞い、舞い、い、テープは終わりを告げる
一つ深呼吸
残されたものは、私の、私のための限りない
繋がれないものたちの数々ではなく
そろそろ地平線へ帰化せよ
此処はとても黒い、此処はとても白い
組み伏せるのだ今夜
地平線と灰の狭間で待ってる
朝のカクテル越しに 朝はカクテル越しに