RT会議室突発連詩ログ保管庫[110]
2006 01/07 03:11
田代深子

2006年1月7日 午前1:00頃から
守り手・田代深子
「犬」をイメージして
5行ずつ 守り手→田代の順で



  吠


視て、白い土地で
濁声がひらかれ
ひらかれてゆく 半眼の
猟犬は伏せることに
馴れたままで 、凍結している

その備えた背に一条の
陽が射すのは、未だ
薄暮のうち 声々は幾重にも
響くけれど、小さく
きれぎれの先触れとしてだけ

放たれた 子犬の
その無数のように廃墟は
同時に開始される、狩りの
その狩りの無数の、殺戮の 猟犬は
伏せている けして陽を 追うことはなく

格子はなく、命ずる声もなく
ひたすらな凍結よ 甘やかなのか
霧氷のおりる瞼
硝煙のにおいを求めるのもやめたのか
でも視て 、白を濁らす 声

残響 立ち上がり、立ち上がる傷痕の色彩
くずおれてゆく夜を棄て 薄暮に立ち上がる
薄暮の、内部に融けかける 彼の吠声
白い土地はおびただしく、
語りかける彼は、疾駆する吠声の

いらえはやってくる
やってくる、それぞれに伏せた
白い土地で 薄氷をふるい立ち
痩躯を射し貫く 一条の陽は追わず
けれど呼ぶ 、いらえを
 
 
 
 
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