書き換え連詩スレッド[141]
2018 04/16 01:15
たこ

あなたの言葉を
プレパラートにのせて
ほんのひと雫の水をたらし
顕微鏡で覗いてみると

黒枠の
光のスペクトルの中に
やまなしが
浮かび
風に揺らめく
カーテンが
琥珀の日の光を浴びる
ひとつの
川になりました

眠らない魚を
はなしてみると
水面にするりと
滑り込み
背の鋼色をきらめかせ
すいすいと
アメンボやくらむぼんと
一緒に
滑ってゆきます

西日が差すと
川底で揺らめく
光の網は そのつど
その輝きを増し
流れるあわ粒や芥が
濃い影を落とします

その営みは
いつまでも続くようでいて
実は束の間の出来事でした

揺らめく光に寄せるように
砂のかけらが
いくつもいくつも
キラリキラリと光ります。

でも
手に取ろうとしてみると
ぱりんと 砕けてしまうのです

記憶は消えてゆきました
夏の終わりのことでした
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