巻頭詩保存スレ[87]
2006 10/03 19:16
渡邉建志

乾いた指先に乾いた風 
ミュート音だけが響く遠い場所に 
私とあなたは立っている  
二人は歩を沿わせる 
そして徐々に速度を落としていく  
雲の速度も 光の透過も 
立ち止まって二人を見つめる 
  
世界の回転がゆっくりと  
ミュートされた音自身と戯れるように見えた 
  
私とあなたは無音を透過して 
片側通行の雨がはるかに通り過ぎる 
  
きのう宇宙をつかまえたはずで 
氷細工のように溶けた 
誰も彼岸を知らないけれど 
乾いた風の音を見ている今 


#ノータッチ
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