批評しましょ[57]
08/09 16:37
一番絞り

さて、詩による批評というものを試みてみよう。それも私憤にもとづく批評詩というものを。(笑)
そうだな...表題は「マンドリンのスネカジリ」。(爆笑

   マンドリンのスネカジリ

 舞台裏からマンドリンのスネカジリ登場
ぽろん〜と楽器を爪弾く

 ご大! ご大さま! どこにおいでですか、ご大さま!
 ああ、昏くてよくみえませぬ
 昏くてよくみえませぬ
 蛍光灯もこれだけ暗ければ世も末
 いや、もはや法滅
 何も見えませぬ 何も感じられませぬ
 そうだ! ...テツガクせねば!
 マンドリンのスネカジリ、ポケットからハイデガーの
 『存在と無』を取り出し、膝の上において
 マンドリンを
 「ぽろ〜ん」
 
 谷川シュン太郎 天幕の上より 
  (顔面神経痛に耐えながら)
  親のスネカジリ、いや七光りでこの壇上に出現したおれは
  おまえらミツバチもどきどもの運ぶ養分を食らって 
  もはや単純に詩人なんかぁーじゃないのだ
  だれにも届かぬところへ押し上げられ変容してしまった
  このおれを それでもけなすものがこの世ににいるとは
  おもしろい!
  おもしろいことだ!

 マンドリンのスネカジリのマンドリン、舞台の板張りに落ち
 マンドリンのスネカジリの頭が天に向かって仰がれるや
 ぼるカ、四輪車のオモチャに乗って横手より現れる

  「ぶー」
  黙らせたいんだ
  夜もおちおち眠れんのよ
  許せないなんだ
  あんな愚劣な詩論の持ち主がぬけぬけとあなた様の悪口をいい
  ぬけぬけと詩の批評なんかするなんて
  どうしても許せないんだ
  これは
  詩への冒涜です
  だからつきまとってやるんだ
  消してやる きっと
  ぼくのディスプレイの液晶画面上から
  あいつを

  ぼるカ 「ぶー」と去る

   一番絞りを捕まえた〜♪
   一番絞りを捕まえた〜♪

 お初、舞台右手より登場。
 《シュン太郎さま、詩に神さま、ついにこのアホを捕まえました》
 マンドリンのスネカジリ、瞠目する さっそくマンドリンを構えて
 「ぽろ〜ん」
 《ハイデッガーも理解できぬ無学なアホが〜 
  ご大さまの悪口をいいふらすなんて〜
  気の利いた返事のひとつも〜
  返せぬ間ぬけが!

   一番絞りにやにやしている

 お初、にじりより、にじりより、一番絞りのほおをハッシと打ち

 《世間様に歯向かって 世間様に背を向けて 世間様を嘲笑って
  それでおまえはまだ詩を書こうってのかい!
  このトウヘンボク!
  この成り上がり!
  この世間知らず!
  この大甘ちゃん!
  詩はおまえのような
  詩はおまえのような
  ノータリンのアホがやるもんじゃーないのよっ!
  さあ世間様にお詫びしな
  さあ世間様に頭を垂れな
  世間様がみとめるご大さまにひれ伏しな

   一番絞りにやにやしている

  谷川シュン太郎突如顔面神経痛激しく、天井より顔しかめて
  あいたいたいたー あいたたたたー
  おれは詩人だ あいたたたたー
  おれは詩人に間違いないのだー あいたたたー
  どうしておまえはそれを認めぬ
  世間が怖くないのか
  世間に媚びる甘味な快楽をしらぬか
  権威だぞ
  権力だぞ
  あー、なんだその目は なんだその目は
  おまえ、ゆるせぬ 殺す たたき出すぞっ!
  この世から!
  マンドリンのスネカジリ! 
  こやつにスネをカジる愉悦を説いてやれ!
  親のありがたさを説いてやれ!
  権威のすごさを説いてやれ!
  その上でまだわからねば

  「まだわからねば?」

  追放だ

  一番絞り
 「あー、つまんねー。出演者がつまらなさすぎる」
 「おれはこの舞台、途中で降りるぜ」
 
 谷川シュン太郎
 「や〜んぺだと? おいおい、けなすお前がいなければおれはどうなる」
                 


  
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