2007 09/03 21:40
佐々宝砂
温室から出たら猿が大量に死んでいた。みんな両手を前に突き出し、目を剥いて、同じ方向に向かって坐り込んで死んでいる。猿によっては目が腐って落ちてうつろな眼窩が目立った。どの猿の背中にも黄色っぽい棘のようなものがみっちりと生えていた。なんでこんなに猿が死んでいるのだろうと少し不思議に思いながら歩いてゆくと、白髪のおじいさんがいて、猿の首の後ろをカミソリで剃っていた。この黄色っぽい棘が首を全面覆ってしまうと猿は死ぬんだ、とおじいさんは言った。息があるうちに棘をカミソリで剃ってやれば猿を救えるとゆーので、私はカミソリ片手におじいさんと森深くに入っていった。