連座 萬草庵 弐軒目[787]
2010 05/18 15:42
佐々宝砂

甘き嘘きみに与へて風薫れ 

定家葛(ていかかづら)ねぢれて君の文とどく

書物売り払はん。…忍冬(すひかづら)

悩ましき老女になりたし甘茶飲む

夫(つま)に言ふことばなくとも新茶注ぐ

早苗田を切り裂き過ぐる風。怪し。

恐るべき人の背中に夏の風

夏来る涙はぬぐはぬ乾くべし

逃げ水にとけゆく君の悲鳴かな

はつなつの果汁したたる君の指より
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