04/30 16:47
佐々宝砂
「未来世紀ブラジル」も「1984年」も「ブレードランナー」も見ました。個人的には「ブラジル」が一番好きです。さまざまな意味での滑稽さが、愚かさが、そして最後のどうしようもない残酷さが。その手の小説もあらかた読んでると思います。うんと昔から、個人的につきつめて読みまくってるテーマが「不条理」「管理社会」「ディストピア」「ユートピア」なのです。そういう意味でカフカも好き。カフカの「審判」なんて最初読んだとき「なんておもろいディストピアSFだ」と思いましたよ(笑)。で、いろいろ読んだ中でいちばん怖かったのは、私が女だからだと思うけれど、マーガレット・アトウッドの『侍女の物語』。
そのほか、一冊だけ、どうしても読みたいのに読み損ねてるディストピアものがあります。『京城・昭和六十二年 碑銘を求めて』という本。卜鉅一という人が書いたと知ってるし出版社も知ってるけれど、絶版品切れ重版予定なし古本で探しても見かけたことすらありません。日本が大東亜戦争(私、いつもは第二次世界大戦と言います)で勝利をおさめて時が流れ昭和六十二年、朝鮮半島にソウルという町はなくケイジョウという町があり、朝鮮語は完璧に抹殺されている(この世界には韓国も北朝鮮もないので「朝鮮語」)。そんな世界で主人公は全く未知の言語(実は朝鮮語)で書かれた詩集を発見する……というお話で、そこここに詩が挿入されているらしいのです。誰かこの本持ってませんか、どこかで売ってたらぜひとも教えて下さい。ネタでもなんでもなくこれは真剣なお願いなのでした。
川又千秋は、やっぱり評論がすごい人だったと思います、小説読んで「がっくり…」と思ったことがなんどかある。でもやっぱりリリカルな評論というものがあるのだと教えてくれ、私に評論の面白さを垣間見せてくれた最初の人はあのひとなのだなあと思います。
神林長平は長編も雪風も海賊も好きだけれど、なんだかんだ短編「言葉使い師」かなあ、結局のところあれにもっとも惹かれます。「君はマリオネット。私が操る。」あの最終行に、ほんとにしびれました。
↓私がどれほどディストピアもんが好きかという証拠文献
http://www2u.biglobe.ne.jp/~sasah/reviews/hyo7.html