☆現代詩フォーラム古典部☆[73]
2007 05/19 01:50
佐々宝砂

すさまじきは我が庭の夏草なり。人ふたり住みをりし、ただ広きばかりの屋敷内に、蒲公英、詰草、花茨、庭石菖などいとけなき野花こそあれ、伸びたきやうに伸びたるすさまじき青芒のたぐひに皆隠れをり。しかあれど、手の入らぬ裏庭の柿の木のまだやはらかき芽に巻き付きたる木通の花の薄紫のうつくしきこと、花茨の棘に刺されつゝ採る木苺の甘きこと、斯様なるすさまじき庭ならでは味はへぬものにてやあらむと、我のみ密かに喜びてをり。

木苺の輝く朝となりにけり
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