一人のこどく
一絵

「あなたあなたあなたあなたあなた
貴方貴方貴方貴方貴方貴方」

みんなうるさい
黙れ

一人ぼっちしか知らないにんげんは
どうすればいい

愛する感覚は強烈に知ってる

でも愛される感覚は微塵も知らない

「あなたあなたあなたあなたあなた
貴方貴方貴方貴方貴方貴方」

貴方なんて言葉を多用する音楽なんて
死んじゃえばいいのに
耳障りだ
ノイズなんてそんな甘美なもんじゃない
クソだ

スーパーマーケットにいても喫茶店にいても
どこにいても聞えてくる
クソが聞えてくる感覚だ
悔しいとかそんな単純な感覚じゃないんだ


心の中は爪で引っ掻いた跡だらけで
血でいっぱい滲んでいる
筋肉の筋一つ一つが震えて手のひらは開かない
唇は噛み切って形が見えない
俯いて上を見られない

愛する感覚は強烈に知ってる

でも愛される感覚は微塵も知らない

かける言葉も
かけられる言葉も

知らないんだ



未詩・独白 一人のこどく Copyright 一絵 2007-01-06 10:10:44
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