祈り
さくらほ

こつんこつんと人にぶつかりながら
下町の商店街を通り抜け
神社の境内に入ると空気が変わる
人々から顔の険がとれ
階段をおとなしく上り
順番を待ち賽銭を投げる
大人は子供の前では見せた事のないような神妙な顔で
子供はその大人に倣い少し照れくさそうに
手を打ち祈る

あの人の祈りも
この人の祈りも
私の祈りも
ざわめきの中にとけてゆく

祈り終えて階段を降りていく人々の顔は
少しだけやり遂げた顔
また人ごみの中へ帰ってゆく

祈りはどこに届くのか
きっとそれはどこでもない
祈りは自分の胸にこだまする
平和な時代の祈りは優しい
そうであってほしいと願う


自由詩 祈り Copyright さくらほ 2007-01-05 16:13:50
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