眠れる都市
三条麗菜

こんな寒い日は
ひとりの部屋で
暖かくなった時のことを
想ってみます

私は緑あふれる
公園へと出向くでしょう
そして地面に落ちた
木の葉を探すのです

役目を終えていないのに
木の枝から見放されてしまった
木の葉はどのくらい
あるのでしょう

私はそれらを集めて
美しいドレスを作ることが
できるでしょうか?

もちろんそのドレスの命は
わずか一夜のことでしょう
緑を保つための
水分も養分も無いのですから

私はそのドレスを身にまとい
眠れる都市の中をさ迷いながら
夜明け前まで踊るのです
夢中になって踊るのです

地面から建ち上がる
無数の高い建物は
人を養う枝となり
葉はあおあおと繁る
葉はあおあおと繁る
見放された木の葉など
一枚も無いかのように

そして私は
大地を駆ける
大地で踊る
私が身につけた
すべての木の葉が
最後の輝きを見せるまで

でもこんな寒い日は
まだ何も始まりません

だから私は
ひとりの暖かい部屋で
踊る練習だけを
しています


自由詩 眠れる都市 Copyright 三条麗菜 2007-01-04 21:39:09
notebook Home 戻る