ヒッキーの流れる街
umineko
街にヒッキーが流れている
濡れた声で
あの頃の私が流れていて
きっとそれは
今よりずっとあがいていて
やるせない想いに満ちていて
それはいくつかの事象だったり
たったひとりのことだったり
あなたはやさしかったけど
あなたが私を好きかどうかは
どうしてもよくわからなくって
そんなこと どうでもいいよって
顔をするだけは
ずいぶん得意で
私はことばが欲しかったんじゃない
身体を許せば
なんだかずいぶん星が近くに来るような
そんな気にもなれるけど
最初だけだ
自分の中の確信を
確かめるすべのない不毛な足跡を
やさしいものは嘘だと思う
うさぎを見よ
あれから
ずいぶんいろんなものが
崩れ落ちてしまって
あの高い2つのビルも
きっとヒッキーも
さみしそうに抱きあっている
それを知らない
ヒッキーが歌っている
知らないから濡れている
濡れている声で歌っている
きっとヒッキ−は知っている
早熟で
生意気で
ひとりぼっちだ
私はヒッキーを
何も知らない
違っていたらごめんなさい
でもあなたの声は濡れていて
私はただ流れている
あなたが混沌と街をさまようのと
私があなたの歌を聞くのは
もしかして
同じ位相で
ヒッキーを聞いても
過去は消えない
ただ流れていくあなたの歌と
私は