ヒッキーの流れる街
umineko

街にヒッキーが流れている
濡れた声で

あの頃の私が流れていて
きっとそれは
今よりずっとあがいていて
やるせない想いに満ちていて
それはいくつかの事象だったり
たったひとりのことだったり

あなたはやさしかったけど
あなたが私を好きかどうかは
どうしてもよくわからなくって
そんなこと どうでもいいよって
顔をするだけは
ずいぶん得意で

私はことばが欲しかったんじゃない
身体を許せば
なんだかずいぶん星が近くに来るような
そんな気にもなれるけど
最初だけだ

自分の中の確信を
確かめるすべのない不毛な足跡を
やさしいものは嘘だと思う
うさぎを見よ

あれから
ずいぶんいろんなものが
崩れ落ちてしまって
あの高い2つのビルも
きっとヒッキーも
さみしそうに抱きあっている

それを知らない
ヒッキーが歌っている
知らないから濡れている
濡れている声で歌っている

きっとヒッキ−は知っている
早熟で
生意気で
ひとりぼっちだ

私はヒッキーを
何も知らない
違っていたらごめんなさい

でもあなたの声は濡れていて
私はただ流れている
あなたが混沌と街をさまようのと
私があなたの歌を聞くのは

もしかして
同じ位相で

ヒッキーを聞いても
過去は消えない

ただ流れていくあなたの歌と
私は


自由詩 ヒッキーの流れる街 Copyright umineko 2004-04-04 21:40:56
notebook Home 戻る