格好良い大人にはなれなかったけれど
松本 卓也

今の瞬間を繰り返しながら
生き延びているだけのこの姿は
その小さな四つの瞳に
どんな風に映っていたのかな

幼い頃から何度も摩り替えつつ
一つを否定して一つを肯定して
いつしか永らえるだけが目的となって
意味を問う事さえ置き去りにしてきた

むずがるでもなく泣くでもなく
はじめて見る顔をじっと見つめて
小さな指をぐっと伸ばし
この頬に触れようとする

少し 涙が出そうだ
何だか慰められているようで
何だか励まされているようで

こんな大人になるんじゃない
そんな事が言えるほど
碌でもない生き方でも無く

背中を見せる役目じゃないけれど
今の俺や兄貴達にとってそうあるように
君達の思い出の中で恥ずかしくない
そんな存在であればと 願う



なぁ兄貴
何でこの子ら 急に笑い出したんだ
俺の顔がそんなに可笑しいのかな?


自由詩 格好良い大人にはなれなかったけれど Copyright 松本 卓也 2007-01-03 16:27:33
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