遠天
霜天

いつの間にか
とは言っても気付いてはいるし
知っていることと、そうでないこととの狭間で
見えているものは見えている

遠天
空が遠くなった
うつむいて歩いても、どこかで触れているような気がする
新聞なんて見ない、と言っていた君でも
身体の、奥のほうで心がすとんと落ちるそんな、
隙間で
感じてしまっている
月が小さくなる
綺麗な満月だった
言い訳をするような
ゆっくりの速度で


いつの間にか
とは言っても気付いては、いる
夜は少しずつ重くなり
朝は少しずつ軽くなった
何千年もそこにあるような
張り付いた風景を吸い込むと
僕らもそこに固定されてしまう

遠くなった空の下で
僕らは短くなっている
すっかり短くなった名前で
君のことを呼ぶ
軽くなった朝の中で
変わらずに出掛けていく人がいる
振り向いてくれればそれで、いいのかもしれない
絵葉書に景色が馴染むように
夜が少しずつ、近づいている


いつの間にか
とは言っても気付いているはずで
知っていることと、そうでないこととの狭間で
見えているものは見えている
その時に、気付ければいい
遠くなった空や
短くなった君や、僕について


自由詩 遠天 Copyright 霜天 2007-01-03 02:23:41
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