降るコブタ
望月 ゆき

もう どうにもならないと判り
前にも後ろにもすすめずに
つり橋の真ん中で たちどまっていた
ここまで来ただけでも いいんじゃない、と
きっと 誰もが口をそろえる
けれど そんなことはどうでもいい

呆然としていたら
下から風が吹いてきて
つり橋が揺れ ハッと我にかえった

どうしたものかと思って
空を見上げたら
雲の間から たくさんのコブタが降ってきて
ぼくは
ちょっと 笑ってしまった

笑ってしまったんだ


自由詩 降るコブタ Copyright 望月 ゆき 2004-04-04 13:34:25
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